~ 東大への道 ~

人とは少し違う道を通っての東大進学でした。中学まで一貫校で幼稚園から同じキャンパスに通っていました。小学校までは中くらいの成績で目立っていたわけではありませんでした。そして、中学に入ってから成績が上がり始めました。高校で、初めて外に出る形になり本人の居心地の良い場所に巡り合えました。

高校2年の夏から高校3年の夏までフランスに留学して、一年のブランクができました。ただ、本人の希望で留年はせず、日本に戻り高校3年の2学期からのスタートになりました。もう、周りは受験に向けてすでに準備が進んでいたと思います。当然、勉強の遅れを実感しつつ取り戻すために一気に勉強を始めました。予備校へは通わず、学校で配布される教科書と問題集のみをがっつりとやっていたようです。日本に帰ってきた時期も遅かったこともあり、模試も数回しか受けていません。高校の先生は娘が東大に受かるとはあまり思えなかったのではないでしょうか。

センター試験までは1日3、4時間は勉強をしていたでしょうか。しかし、センター試験が終わったとたん空気が抜けたようになって携帯で漫画を見る時間が増えていたようです。それでも一日1教科の過去問はやっていたようですが、せいぜい2時間前後の勉強時間しかなかったように思えます。親の目から見ても「これは、受かるのか??」と不安しかなかったのですが、私立の受験は始まりました。選択科目が生物であったこともあり、私立も2校受けたのみで、合格が出ても本人はあまり行くつもりもなかったので入学金も払いませんでした。一応、国立の後期試験がある学校も出願していましたが、家族も含めて危機感があまりなく無理かもね・・という気持ちもありました。とても、東大受験を控えた受験生には誰の目にも見えなかったでしょう。

それでも、前期試験が終わり、高校の卒業式も終わり合格発表の日を迎えました。我が家は本郷キャンパスまでは近いのですが、発表はWEBで確認をしました。時間が来てもすぐには確認しようとしませんでしたがとうとう覚悟を決めてスマホを見始めました。

「受かった」と一言で、私は心からホッとしました。高校の先生にも電話をして報告し、直接本郷キャンパスでの発表を見るために出かけました。祖父母の家が農学部の裏にあるので、祖父母に合格を報告して弥生門から受験番号があるところまで行きました。本来の動線と逆方向だったため、先に在学生からの祝福を受けてしまい、「今から見に行くんです・・」と断りながら進みました。

一年間高校をスキップして、予備校にも行かず自分の力だけで合格を勝ち取り、今現在も出される膨大な量の課題をクリアしながら自分の道を進んでいます。彼女の強みは効率の良い勉強方法を自分で見つけたことだと思います。今は、その術を家庭教師をする生徒さんに教えながら、生徒さんの苦手部分と先を見ながら個々の指導に励んでいます。